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こんにちは。札幌の就労準備型放課後等デイサービス「トランジットジュニア」です。
就労準備型放課後等デイサービス「トランジットジュニア」は、将来の就職に向けて、13〜18歳(中高生)の世代が必要な働き方・働くスキルを学べる場所です。
社会には、目には見えないけれど守るべきとされている「暗黙のルール」や「その場の空気を読む力」がたくさんあります。たとえば、電車やバスでは空いている席から順に座る、カフェでは混んでいる時に長時間勉強や仕事をしないように気をつけるなど、誰かに明確に教えられたわけではないのに、みんなが「そうするもの」として身につけているマナーがそれにあたります。
しかし、ASD(自閉スペクトラム症)の特性をもつ人にとっては、こうした“あいまい”で見えないルールを理解したり、それに合わせて行動したりするのがとても難しいことがあります。なぜなら、それらのルールは言葉で説明されていないことが多く、「周囲の様子を見て自然に学ぶ」というやり方が必要とされるからです。
たとえば、「お先に失礼します」と声をかけずに退勤したことで「気遣いが足りない」と思われてしまったり、指示を聞いているときに「メモ取らなくていいの?」と聞かれ、「あとで分からなかったらまた聞くから大丈夫です」と返したら、「常識がない」と思われてしまうことがあります。また、会話の合間のタイミングや表情の読み取りなども難しいことがあり、無意識のうちに周囲とのズレが生まれることもあります。
こうしたすれ違いは、悪気があるわけでも、ルールを破ろうとしているわけでもありません。ただ、“暗黙の了解”という名前の「見えないルール」がそこにあることを、知らなかっただけなのです。自分の常識と社会の常識が一致していないだけで、「非常識な人」と誤解されてしまうのは、とてもつらいことです。
そして教える側もまた、「こういう時は、こうした方がいいんだよ」「そんな言い方したら相手はどう思う?」といった、抽象的な表現になりがちです。これは多くの人が「経験や空気感で自然に理解するもの」と考えているため、「説明するほどのことではない」「言わなくてもわかるはず」という意識から、つい曖昧な伝え方になってしまうことがあります。また、相手にストレートに伝えるのは失礼だと感じてしまったり、断定を避けて柔らかく伝えようとした結果、かえってわかりにくくなることもあります。
あいまいな表現は受け取り方に個人差があります。ASDの特性をもつ人のなかには、「相手にストレートに伝えるのは失礼」という感覚が無いために相手のその配慮に気づけず、「こうした方が良いんじゃない?」と遠回しに忠告をされたときに「自分は気になりません」と答えてしまうことがあります。
「自分は気にしないけどな」と思ってしまえば、ルールとしては成立しません。そうなると、「どうして注意されるのかわからない」「なんでダメなのか納得できない」と、学ぶ機会そのものを逃してしまうこともあります。
だからこそ、「なぜこのルールがあるのか」「それを守るとどんな良いことがあるのか」を、具体的に、わかりやすく、はっきりと、本人の経験と繋げながら伝えることがとても大切です。行動の背景にある“理由”が見えることで、ルールそのものへの納得感も深まり、自分から行動しようという気持ちにもつながります。
トランジットジュニアにも、学生が安心して活動できるよう、いくつかのルールがあります。たとえばeスポーツをプレイする際には、「声の大きさに気をつける」「使う言葉に配慮する」などのルールがあります。これはeスポーツの時に限った話ではなく、図書館や公共の場所でも同じように「静かにする」「人を不快にさせない言葉を選ぶ」といったルールが、明文化されずに求められています。集中しているときに大きな声が聞こえたり、攻撃的な言葉が飛び交ったりすると、誰でも不快になります。そうした“なんとなく守られているマナー”を、トランジットジュニアではルールとしてきちんと掲示し、学生全員が見えるようにしています。
トランジットジュニアのルールが守れない時にはイエローカードやレッドカードを使い、「スポーツマンシップに反した行為には報酬なし」など、視覚的にわかる形でルールを示しています。また、新しくeスポーツを始めるとき、ルールの更新があるときなどには、学生一人ひとりに丁寧な説明を行い、納得した上で参加できるようにしています。その都度、具体的な事例や過去のケースを交えながら、「この時はこうするといいよ」と伝えることで、理解の深まりを促しています。
こうした環境の中で、「この言葉はちょっと言いすぎかな」「この声の大きさなら伝わるし、周りにも迷惑じゃない」と、自分で“加減”を調整できるようになっていきます。さらに、ルールを守って行動することで報酬がもらえるという「メリット」も実感でき、ルールに従う理由が明確になります。それによって、単なる「指示」ではなく「納得したうえでの選択」に変わっていきます。
社会に出ると、こうした“空気を読む力”が当然のように求められる場面が増えてきます。職場や地域、趣味の集まりなど、それぞれの場に応じた「ふさわしいふるまい」が期待されるからです。しかし、学生のうちに段階を踏んで学ぶことで、「あの時こうしたから、今回はこう動こう」と経験を応用できるようになります。その積み重ねが、自分らしさを保ちつつも他者と共に過ごす力へとつながっていきます。
たとえば、遅刻や欠席の連絡をすること、場に応じた声の大きさを意識することなど、一見すると些細なことが、実は社会に出たときの“信頼”に大きく関わってくるのです。「約束を守る」「周囲に配慮する」といった行動が、相手からの安心感や信用につながっていきます。
トランジットジュニアでは、こうした力を学生のうちから少しずつ育て、安心して社会に出られるように、見えないルールに戸惑うことがあっても、「どうしてそうするのか」を一緒に考え、ひとつずつ理解を積み重ねていけるよう、サポートしています。
現在、札幌の就労準備型放課後等デイサービス「トランジットジュニア」では、将来の就職に向けて学びたい中高生の方やその保護者のみなさま、学校やクリニックのご担当者様からの見学・利用体験・ご相談・ご質問などを随時受け付けております。 障害者手帳や療育手帳をお持ちでない方も、医師の診断があればサービスを利用することができますので、お気軽にお問い合わせください。
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